生成AI TRPG「女性しかいない村」
巫女のその言葉が、終わるか終わらないかというその時。
「いた! おい、あんたら!」
大声で3人を呼びながら、村人の女性が走ってきた。
「今すぐ、診療所まで来てくれ! [変数.急病人]が……[変数.急病人]が、倒れたんだ!」
〇〇が診療所に行くと、そこには何人かの村人が詰めかけていた。
村長、師匠、そして看護師。
[変数.急病人]の姿は見えない。別の部屋に寝かされているのだろうか。
看護師らしき女性が言った。
「師匠さんには悪いんですが、今は同じ部屋に入れるわけにはいきません。感染するタイプの病気かもしれませんから。
すみませんが、私も見たことのない症状なんです」
そう言って看護師が、その症状を詳しく説明していく。
その症状に、〇〇は聞き覚えがあった。
それは近年世界中で流行した、ニル・ウイルスの症状だった。
「つまり、家内の病は、お前さんたちが外から持ってきたということか?」
看護師が「師匠さん、それは……」と押し留める言葉も届かず、師匠が詰め寄ってくる。
「お前の……お前のせいで、家内は、カヨは……! どうなんだ! はっきり言わんか!」
いよいよ我慢できなくなった師匠が、〇〇に掴みかかろうとした、その時――
「おやめなさい」
村長の制止の声が入った。
「師匠さん、どうか一旦落ち着いてください。
看護師さん、師匠さんを連れて、しばらく別の部屋へ」
「は、はい……」
看護師と師匠が奥の部屋へと下がっていく。
その間も、師匠のギラギラとした視線が〇〇を睨みつけていた。
〇〇の話を聞いた村長は、ゆっくりと頷いた。
「……わかりました。急ぎ、ワクチンを取り寄せましょう。
[変数.急病人]はこのまま隔離し、この診療所で出来る限りの治療を施します。
そしてあなたがたには、このまま村に留まってもらいます。どうやら、既に村の秘密を知ってしまったようですしね」
どうやら村長は、少ない会話から〇〇と巫女の間でのやり取りも推測したようだ。
「はっきり言いましょう」
村長は、冷たい眼差しを〇〇へと向けた。
「あなたたちは、もう生きて村から出ることを許しません。
例え[変数.急病人]と同じウイルスに感染したとしても、村の中で治療を受けてもらいます。
何があっても絶対に、外には出ることは許しません」
「待て!」
そこに、師匠の声が響いた。
「待って……待ってください、村長様……」
師匠が、村長の足元に縋るように膝をついた。
「家内は……せめて家内は、村の外で……こいつたちの話だと、治療は村の外でしかできないと……
ならせめて家内だけは外で治療を受けさせてやってください。
絶対に、絶対に村の秘密は漏らさないと、誓いますから……」
「なりません」
村長は、にべもなかった。
「例外はありません。もう二度と、何者であっても。
村の秘密を知る者を、外に出すことは許しません」
「そんな……村長様……!」
「話は終わりです」
村長はその言葉を最後に、診療所を立ち去った。
そこには、さめざめと涙を流す師匠と、それを心配そうに見つめる看護師と、そして3人が残された。
「それは、[変数.急病人]もですか」
横から口を挟んできたのは、看護師だった。
隈の浮かんだその目は、村長へと向けられている。
「はい、もちろんです」
村長はその目に怯んだ様子もなく、首肯した。
「例外はありません。もう二度と、何者であっても。
村の秘密を知る者を、外に出すことは許しません」
「[変数.急病人]の容態は深刻です。この診療所で……私の力で、回復に向かうとは到底思えません。
村長は彼女に、村のために死ねとおっしゃるんですか」
「そのように受け取っていただいて、構いません」
静寂が辺りを包む。
「話は終わりですね? それでは私は戻らせていただきます」
その言葉を最後に、村長は診療所を立ち去った。
『あー、あー、聞こえとるか? あー、あー』
その時突然、どこからともなく巫女の声が聞こえてきた。
『こんな時にすまんの。おぬしたちに頼みたいことがあって、念話を使わせてもらった。
頼みというのは……まあ率直に言うとじゃな。
この村の呪いを、断ち切ってほしいのじゃ』
『詳しいことは、会って話す。
もし協力してくれるなら、神社まで来てくれんか』
『あまり呑気にしてはおれん。いつ副長のやつに気づかれるともわからんからな。
あやつは、村の番人にようなことをやっておってな。わしらの目的を知れば、力ずくで止めに来るじゃろう。
普通の人間はあやつには勝てん。あやつと対面してできることは、せいぜいが時間稼ぎ程度じゃ』
「[変数.急病人]を、村の外へ連れて行くつもり?」
看護師が声をかけてきた。先ほどと違い、その口調からは敬語が抜けていた。
「まあ実際、それぐらいしか方法はないかもしれないわね……
でも正直、お勧めはしないわ。この村には、副長がいるから」
「副長はね、この村から抜け出そうとする人を追いかけて、村へ連れ戻したりしてるのよ。
彼女の強さは尋常じゃない。普通の人間じゃあ、彼女に勝つことは絶対にできないわ。
できたとしてもせいぜい、時間稼ぎ程度でしょうね」
「[変数.急病人]は、病人よ。無理に動かせば命に関わる。勝算もない計画に、看護師として、許可は出せないわね」
口調からして、村の掟を守ること自体に関しては、この看護師は反対していないようだ。